“この本、読んでいて、ちょっとぎこちない印象を持ちました。「一生懸命資料に当たって書きました」というような真面目な努力の跡が見えて、そこで著者の経歴をみたら1974年生まれの若い方でした。音楽や映画、小説、マンガのような「流行りモノ」は、その時代の空気を吸っていた人にしかわからないところがありますが、これは、いたしかたのないことでしょう。生まれた順番の問題ですから。ぼくが軍歌について書いたりしたら、やはり、調べて書くしかありません。軍歌落語『ガーコン』の川柳川柳師匠じゃないんですから。 その裏返しが最後の13章と終章。突如として文章が自信にあふれ、生き生きとしています。おそらく自身で体験し、肌で実感してきたことを書いたからでしょう。「昭和歌謡」のことなども、若い飲み仲間を通じて知ってはいましたが、なるほど……という感じ。半田健人なんて、テレビを見ないもので、そのマニアぶりは、ネットでの情報しか知りません。とても勉強になりました。この本は、そんな「昭和歌謡世代」からの演歌や流行歌、歌謡曲の時代を逆照射したものだともいえそうです。”
- 読書:『創られた「日本の心」神話』(輪島裕介/光文社新書):すがやみつるblog
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