"昔、山崎元というスポーツ医学者（慶應義塾大学スポーツ医学研究センター）に「『スポーツは体にわるい』という本がありますが」と質問したことがある。すると、「そんなのは『患者よ、がんと闘うな』といった本と同じ..."

昔、山崎元というスポーツ医学者（慶應義塾大学スポーツ医学研究センター）に「『スポーツは体にわるい』という本がありますが」と質問したことがある。すると、「そんなのは『患者よ、がんと闘うな』といった本と同じで、奇を衒った題名で本を売ろうとしているだけだ。『勉強すると頭が悪くなる』という詭弁と同じ。煎餅をポリポリかじりながらそんな下らない本を読んでいる暇があったら、少しでもスポーツをした方がいい」と、えらくヒステリックな返事をされて面食らったことがある。しかし、この山崎元の発言は質問者に対する個人攻撃にこそなれ、反論にはなっていない。科学者としては明らかに醜態というべきだろう。

　「スポーツは体にわるい」というのは乱暴な表現だが、間違ったことは言っていない。特に自己流のやり方でスポーツをした結果、体に無理な負担をかけて健康を害するというのはよくあることで詭弁でも何でもない（勉強に関してもやり方によっては悪い癖がついてそこから抜け出せなくなり、あとあと苦しむことはよくある。外国語の学習など典型例）。またスポーツにもいろいろあるが、ボクシングやウェイトリフティングなどというのはどういうやり方でも健康増進に役立つとは言いかねる。さらにまた、「煎餅をポリポリかじりながら」本を読んだなどと私は一言も言っていないし、そんな事実はどこにもない。恐らく、スポーツには確かに体に悪い側面があるのを山崎は科学者として否定できなかったが、立場上それを認めることができず、ピントのずれた反論しかできないことへの怒りのあまり質問者を侮辱する態度に出てしまったものと推察する。