“ しかし、「軍歌」と「エンカ」がきわめて近い経路を辿って同時にリバイバルしていること、また野坂や後藤、そしてもちろん五木寛之など、幼少時に軍歌や軍事的な「国民歌謡」の中で育ち、敗戦直後の数年間にラジオを通じて昭和チョキからのレコード歌謡を聞き覚え、長じて「うたごえ」やロシア民謡、ジャズに向かっていった世代、つまり戦場体験のない「昭和一桁」の世代が、1960年代後半以降「演歌/艶歌」に関する基本的な議論の枠組みを設定したということ、さらに、それらの書き手は『平凡パンチ』や『少年マガジン』を読む、さらに若い世代によって強く支持されていた、という点は強調しておくべきでしょう。”
- 創られた「日本の心」神話 「演歌」をめぐる戦後大衆音楽史 (光文社新書) [新書] 輪島 裕介 (著)
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