“昨日の中国人船長の釈放の報に接し、不謹慎かも知れませんが私の脳裏には「日本終了」という言葉が駆けめぐりました。官邸記者クラブの他紙のブースからも「最低だ」といううめき声が聞こえましたが、この決定については千万言を費やしても語り尽くせない憤りと脱力を覚えます。で、昨日はそんな思いにとらわれつつも、とりあえず関連記事で紙面を埋めなくてはいけないので原稿執筆に励んだのですが…。
一夜明けても、もう何も書きたくない思いが募ります。でも、それではせっかくここを訪問してくれた人にナンなので、本日は昨日のくだらない釈放劇について、政治家たちがどんなコメントをしたかを紹介します。私の感想はつけません。何かの参考になればと思います。
【民主党】
松木謙公農水政務官「うーん。まあ、どういうことなのかねえ。まあ、私ごときがどうのこうのいうことじゃないでしょ、こんなのは、まだ」
鉢呂吉雄国対委員長「私は国対委員長として、今、述べる立場にないと思ってます」
山口壮政調筆頭副会長「中国が本当に経済大国のみならず、政治的にもさらに大きな役割を果たそうとするならば、こういう子供みたいなことやらないようにしないと、友達がなくなっちゃう。中国と一緒にやっていても、いつこんなことをやられるか分からないとなったら、安心して友達になれない。今、中国は覇道できている。力でねじ伏せようという覇道だ。日本はここは王道でいかないといけない。対抗措置をとるとかいうことはすべきではない。船長の処分保留については、今回、筋を通すということが必要だから、何で処分保留したかの筋が見えてこないといけない。日本の国内法に従って処分を行おうとしたのだから、裁判を、いろいろな事情を斟酌して、異例に早くするということはあり得るが、それなしに処分保留しちゃうというのはちょっと筋がおかしい」
仙谷由人官房長官「刑事事件として刑事訴訟法248条の意を体して、そういう判断に到達したという報告を受けたので、それはそれとして了としている。私自身も起訴便宜主義の、行使して検察官が、総合的な判断のもとに、身柄の釈放やあるいは、処分をどうするかということを考えたとすれば、それはそれで、そういうこともありうるのかなと。戦略的互恵関係を構築するについて、刑事事件との処理とは別に何が良くて、何が悪いかというのは、それは別途の我々が考えるべき大局的な政治判断が必要だ。日中関係が悪化する可能性、あるいはその兆候が見えていたことはまがうことなき事実ですから、ここから改めて日中関係が重要な二国間関係であって、戦略的互恵関係の中身を豊かに充実させる方途を両国とも努力しなければならない」
平野博文前官房長官「おかしいと思う。どういう理由なのかはっきり説明しないといけない。勾留延長して途中でと。それなら、何のために勾留延長したのか意味がよく分からない」
柳田稔法相「検察当局において被疑者を釈放することを決定した後、その発表の前に報告を受けた。法務大臣として検察庁法第14条に基づく、指揮権を行使した事実はない。いまだ、被疑者に確認すべき事項もあり、手続きにも時間を要するので、被疑者の釈放の具体的日時等は未定であると承知をいたしております。被疑者を釈放することとした理由は、検察当局において被疑者が操船していた漁船を石垣海上保安部所属の巡視船「みずき」に故意に衝突させたことはこれまで収集した証拠によって明白であると認めたものの、計画性等がみとめられないこと、海上保安官が負傷するなどの人身被害がなかったこと、被疑者はトロール漁船の一船長で本邦における前科がないこと、日中関係の重要性、関係当局による今後の再発防止の努力等を考慮して、処分保留の上、釈放することとしたものと承知している。個別の事件における検察当局の処分にちて、法務大臣として所感を述べることは差し控えるが、一般論として申し上げれば、検察当局において諸般の事情にかんがみ、法と証拠に基づいて適切に判断したものと承知している。 以上が、現時点で私がお話しすることができるすべてだ」
岡田克也幹事長「経緯は聞いていない。もう既に、私は政府の人間ではない。政府であっても、聞いていることはないと思う。那覇地検がそういう判断をしたということであれば、それについて憶測を交えてモノを言うことはできない。地検の判断は、尊重されるべきだ。基本的に検察がどうするか。今回、最終判断はしていない。起訴するかどうかについては判断をしていない。身柄を釈放したということにとどまっているわけだ。そのときに、総合的に判断するということは、現行制度上ありうることだ。検察の判断に対して政府あるいは政治家がいちいちコメントすることは、なるべく避けるべきだ。まだ最終的には結論は出ていない。そのことはよく踏まえた上で議論したほうがよい。大事なことは、やはり司法の独立。検察が自ら判断したということが重要なことであって、それが何かどっかの、日本政府であれ、中国側であれ、何らかの影響を受けて、本来の判断を曲げてしまったという風に受け取られることが、最大の国益を損なうことになる。だから、そういうことではないとしっかりと発信していくことが重要である。まるで中国から言われたから判断を曲げたような、そういう風に理解をされたとしたら、それはまさしく国益を損なうことだ」
馬淵澄夫国土交通相「今回の判断は司法当局、検察の判断だ。これについて我々は今、口を挟む立場ではない。海上保安庁の、我々職員の仲間達は、しっかりとその警備に対して当たっていただいたと思う。(衝突場面のビデオ映像を公開するかは)これもその捜査の中での判断ということになるので、私どもとしてはコメントを差し控えたい。今回の判断については特段の思いというのはない」
松本剛明外務副大臣「司法が判断をされた内容は法に基づいて判断したと思うので、それが政治的であるかいなかは私どもがいう立場にはない。日中関係については冷静に対応してもらいたいと言ってきたわけだが、仙谷官房長官も日中関係に悪化の兆候が見られるのも事実と言っている。諸般の情勢からすれば、そういう認識もあるのかなと思っているが、私どもとしては戦略的互恵関係の構築に努力していきたい」
芝博一副幹事長「個人の立場は別にして、がっかりしている。無条件の釈放は、納得いかない部分がある。しかし、政治状況を考えれば、日本は大人の対応をした。中国と同じ立ち位置で喧嘩したら、よいことは残らない。政治経済を含めて中国の体質を見極めて判断だと思う。外交は相手の国の思想信条を踏まえて考慮しないと」
中津川博郷衆院議員「民主党内の保守派は怒り心頭だ。その話で持ちきり。皆、びっくりしているし、弱腰の対応にあきれている。あくまで想像だが、検察の信頼が地に墜ちている今だったからこそ、上としては(圧力をかけるのが)やりやすかったのでは。日本外交の敗北だ。初動の段階で、漁船がぶつかってきたのを写したビデオを公開し、世界の世論を見方につけておけばよかった。中国にしてやられた。罪のないフジタ社員を「人質」にとったり。外交交渉をしたたかにしないと国益を損ねる。そこを同じ党員ではあるが、果たしてどこまでわかっていたのだろうか。(政府の一番の問題は)親中派が1人もいないことが露呈されたこと。中国はそれを見透かし、日本をなめている。田中真紀子さんや小沢一郎さんに活躍してもらうのも一つの手だったのかもしれない」
松崎公昭衆院議員「弱腰外交と非難すれば済む話ではない。日本は主体的な安全保障を考えていく必要がある。これまでも、こういう状態を放置してきた。今後の反省材料にしなければならない」
前原誠司外相「検察が判断したことについては、政府の一つの機関が決めたことだから、我々はその対応に従う。閣僚の一人として、それに従うというか、了としたい。もし同様の事案が起きれば、また同じような対応を粛々とすることに尽きる」
【自民党】
谷垣禎一総裁「今まで政府は国内法に基づいて粛々と処理すると言ってきた。ところが今回、処分保留で那覇地検が釈放した。那覇地検のコメントを見ると「捜査を継続した場合、我が国国民への影響や今後の日中関係も考慮すると、これ以上身柄拘束を継続するのは妥当でないと判断した」と言っている。まず第一に、捜査機関が言うべきことでない。外交を考え、政治的判断を加えた。その役割は政府が担うべきことであって、検察がこういうことを言うのはまったく理解できない。なぜこういう判断をしたのか、政府が責任を持って説明しなければならない。政治的判断を加えた末にこういうことを言ったのなら、国民にきちんと説明する必要がある。ビデオテープなどを発表しなかったが、それが問題の敏速な、妥当な解決を妨げたのでないか。小泉政権の時は、尖閣に上陸した者に対し、すぐ国外退去にした。そういう処理の仕方もあり得たと思う。国内法に基づいて粛々となると、ちょっと今度の処理は腑に落ちない。少し腰砕けになったのでないか。そういう反応が出てくる恐れもある。検察が今のように政治的判断を加えてやるというところで、間違ったメッセージになっちゃってるんじゃないか」
石破茂政調会長「那覇地検の会見を見ると『今後の日中関係を考慮して』などと言っているが、こんなことを判断する権能がいつ検察に与えられたのか。それはおかしい。その判断の正しいおかしいの前に、こういうことを検察が判断する立場にないはずだ。そこは権限を越えた政治的な判断を検察が行ったというのは極めて問題だ。なぜ検察がこのような判断をしたのか、いかなる権限を持って判断したのか、政府は明らかにする必要がある。官房長官は今は総理の臨時代理だろうから、総理の臨時代理である官房長官の仙谷由人氏がこういうような判断を検察がするに至った理由を法律のプロとして日本国の統治機構の観点から述べる必要があるだろう。会見でこの部分(日中関係のくだり)はなくてもいい。何でこれが入っているのか。そこはかの国へのメッセージかもしれないが、こんなことを検事正が言っていいのだろうか。政府の責任の所在が全く不明だ。検察は何でもやるのかということになる。仙谷さんが一番分かっていると思う。あらゆる泥をかぶるというのなら、臨時代理が言えばいいのではないか」
安倍晋三元首相「日本の領海を侵犯し主権を侵害し、さらに海保の巡視船に体当たりした船の船長を中国の圧力に屈して釈放する。最悪の判断だ。この間違った決断は結果として新たな危機を呼び寄せることになるだろう。民主党政権の領土領海を、国益を守る意志の強さを中国は見ていた。そして見極めた。その結果の領海侵犯であり、逮捕に対する傲慢な圧力だった。叩頭し続ける民主党政権はさらなる叩頭を求められ、日本は尖閣を失うだろう」
【公明党】
山口那津男代表「処分保留ということは形式的には結論が出ていないわけだから、最終的にどうするかは見守らなければならない。しかし、身柄を釈放するわけだから、一つの転機にはなりうる。日中の外交関係をこれ以上、こじらせる、ひいては経済社会関係にいろいろな影響を及ぼすことはだれしも本来望んでいないことなので、ここは法的な主張をぶつけあうよりも、むしろ政治的な解決をしていくべき場面に転じたと思う。日中関係は国際関係の中でも日米関係に匹敵する重要な関係になりつつある。戦略的互恵関係をお互いに認識し高めていこうと、こういう流れもできた。また、東シナ海は平和と協力の海にしようということも共通の認識になっているわけだから、あくまで日中としては様々な課題、あるいは波風があったとしても対話を重ねて平和的な解決に努力をするのが基本でなければならない。いろいろ日中双方にあったが、大局観に立って冷静にこれに対応することは今後とも必要なことであり、起きてしまったことについても冷静に振り返るということも重要だ。もっと大きな大局観に立ってむしろ関係を前進させる、中国あるいはその他の東アジアの国々を含めてこの地域を安定化させることに努力すべきだ」
【みんなの党】
渡辺喜美代表「中国の圧力に屈したとしか思えないような決定だ。一連の中国の圧力に屈して日本の領海で犯罪を犯した船長を釈放したのならば、菅内閣の弱腰外交を糾弾しないといけない。常識的に地検の判断でできる話ではない。当然のことながら政権のトップの決断によるものだろう。一連の中国の強硬姿勢は民主党政権の足下を見透かして日本政府を試しにかかってきていたということが言える。試されている以上、日本が毅然とした態度を取り続けるのが当然なことで、それを途中でこうした腰砕けの決定をしてしまうのは、この先大変な状況に日本を陥らせてしまったなという感じだ。ここまで明白な外交的敗北で解決するというのは開いた口がふさがらない。これから日本に対して、中国のみならず何か要求がある時には無理難題をふっかけてくるだろうということが当然予測される。もう無理難題をふっかけられたらすぐ腰砕けになって釈放でも何でもしてしまうということを見せつけてしまったわけだから。今回も映像が出てくるのかと思っていたのだが、そういうものが全く公開されずに、うやむやのままに唖然とする腰砕け釈放をやってしまった。きちんとその映像を公開すべきだと思う」
【社民党】
福島瑞穂党首「那覇地検の処分を尊重するしかない。関係諸国ときちんと協議をした上で、このようなことが起きないように再発防止の必要がある。やはり政治上、経済上、非常に緊密な関係なので、こういう緊張関係が発生しないように再発防止も含めきちっとやる必要があると考える。釈放したのは那覇地検なので、それは那覇地検の判断だと思う。それは刑事上の処分としての検察庁の判断だと思うので、それがいいとか悪いとかいうよりもそれは尊重せざるを得ないと思う」
【国民新党】
亀井亜紀子政調会長「日本に東シナ海の領土問題は存在しないわけですから、そこで起きた事件について公務執行妨害、国内法に基づいて粛々と進めればよかったことだ。それを釈放したということは何らかの政治的判断が働いたと考えざるを得ない。それは検察の仕事ではない。やはり、外交・安全保障政策に関しては、民主党の中にもいろんな方がいる。保守派もいらっしゃるが、非常に不安を感じている。夏に防衛白書の公表を遅らせたことがあった。あの時に、やはり連立を組む国民新党はまったく相談を受けていないが、やはり私は質問主意書も出して、なぜ遅らせたのか、竹島問題のことをからめながら質問したが、まともな回答を得られていない。真実は分からないが、対外的に竹島問題を考慮したのではないかと思われてしまうこと自体、それは東シナ海で領海を侵犯される隙を中国に対して与えたということだ。国益は安全保障という観点で考えたら損なわれたと思う。やはりスタートで間違えていると思う。初めに毅然と対応しないので、どんどん隙を与えてしまう。そして解決がいっそう難しくなっていくことがある。中国が過剰に反応したことに乗るべきではなかったと思う」
下地幹郎幹事長「この決定に政治的な配慮は無かったことを私どもは信じて疑うものではない。しかしながら、拘留延長し、取調べをするという決定から今日の結果に至るまでの間、何があったのかについて、国民からも、世界の司法関係者からも疑問をもたれないように説明責任をしっかりと那覇地検は行うべきだ。『わが国国民への影響や、今後の日中関係を考慮した』という那覇地検のコメントには、法にのっとり粛々と処理を進めることが役割である検察の判断としては、非常に大きな問題があるのではないか。改めて、那覇地検に対して、国民の納得と法的な納得が得られる説明を求める」
【たちあがれ日本】
平沼赳夫代表「私共は非常に今回の措置というは遺憾なことだと思っている。ここで船長を釈放しましたら、暗に国際社会において、中国の領有権を日本が認めたということにもつながりかねない。たちあがれ日本としては非常に残念な措置だ。これは毅然とやらなければいけない。こういう考え方を持っている」
与謝野馨共同代表「元々、尖閣列島の帰属については、何ら国際法上、問題がないというのは、平沼代表がご説明した通りだ。日本の漁船もロシアの水域に入って捕まることもあるし、また、他の国から拿捕されることも過去あったと思うが、それは一つ一つ小さな事件として処理されるべきことで、大きな国際問題に発展するような言動はあらゆる関係者が慎まなければならない」
【地方首長】
仲井真弘多沖縄県知事「無論、尖閣は沖縄県そのものではあるのですけど、こういう国際的な問題とか課題は、やっぱりお国の方で前面に出ていろいろご苦労されている。皆さんの報道で知っているだけですが、早い時期にいい形で治まるというか、解決をやっていただければと思っているのですがね。今の釈放についてもどんな形で、どんな内容なのか僕ら正確には分かりかねるんで、また正確に分かってからお答えします」
石原慎太郎東京都知事「言語道断だね。何であのビデオをもっと早く出さなかったのか。本当ねえ、ヤクザのやり方と一緒だ。こんなのに屈するとはねえ、屈辱じゃ済まない問題だ。これから国会が始まるんだろうからね。あなた方(記者団)が頑張って、保安庁の持っているビデオ公開させろよ。国民がそれを持ってどう判断するかだ。今の政府をだよ。何のために、何の利益を追求するのか。観光?貿易?そういう金銭の利益以上のものが国家にとってあるだろ。これでとんでもないものを失うんだよ」
今朝、夕刊当番のため出社したら、私宛にこの本が届いていました。私の名前もちらっと出てくるので、ご関心のある方は読んでみてください。…にしても、海保の士気は落ちるでしょうねえ。”
- 中国人船長釈放に対する政治家の一言集 - 国を憂い、われとわが身を甘やかすの記 (via e5150)
一夜明けても、もう何も書きたくない思いが募ります。でも、それではせっかくここを訪問してくれた人にナンなので、本日は昨日のくだらない釈放劇について、政治家たちがどんなコメントをしたかを紹介します。私の感想はつけません。何かの参考になればと思います。
【民主党】
松木謙公農水政務官「うーん。まあ、どういうことなのかねえ。まあ、私ごときがどうのこうのいうことじゃないでしょ、こんなのは、まだ」
鉢呂吉雄国対委員長「私は国対委員長として、今、述べる立場にないと思ってます」
山口壮政調筆頭副会長「中国が本当に経済大国のみならず、政治的にもさらに大きな役割を果たそうとするならば、こういう子供みたいなことやらないようにしないと、友達がなくなっちゃう。中国と一緒にやっていても、いつこんなことをやられるか分からないとなったら、安心して友達になれない。今、中国は覇道できている。力でねじ伏せようという覇道だ。日本はここは王道でいかないといけない。対抗措置をとるとかいうことはすべきではない。船長の処分保留については、今回、筋を通すということが必要だから、何で処分保留したかの筋が見えてこないといけない。日本の国内法に従って処分を行おうとしたのだから、裁判を、いろいろな事情を斟酌して、異例に早くするということはあり得るが、それなしに処分保留しちゃうというのはちょっと筋がおかしい」
仙谷由人官房長官「刑事事件として刑事訴訟法248条の意を体して、そういう判断に到達したという報告を受けたので、それはそれとして了としている。私自身も起訴便宜主義の、行使して検察官が、総合的な判断のもとに、身柄の釈放やあるいは、処分をどうするかということを考えたとすれば、それはそれで、そういうこともありうるのかなと。戦略的互恵関係を構築するについて、刑事事件との処理とは別に何が良くて、何が悪いかというのは、それは別途の我々が考えるべき大局的な政治判断が必要だ。日中関係が悪化する可能性、あるいはその兆候が見えていたことはまがうことなき事実ですから、ここから改めて日中関係が重要な二国間関係であって、戦略的互恵関係の中身を豊かに充実させる方途を両国とも努力しなければならない」
平野博文前官房長官「おかしいと思う。どういう理由なのかはっきり説明しないといけない。勾留延長して途中でと。それなら、何のために勾留延長したのか意味がよく分からない」
柳田稔法相「検察当局において被疑者を釈放することを決定した後、その発表の前に報告を受けた。法務大臣として検察庁法第14条に基づく、指揮権を行使した事実はない。いまだ、被疑者に確認すべき事項もあり、手続きにも時間を要するので、被疑者の釈放の具体的日時等は未定であると承知をいたしております。被疑者を釈放することとした理由は、検察当局において被疑者が操船していた漁船を石垣海上保安部所属の巡視船「みずき」に故意に衝突させたことはこれまで収集した証拠によって明白であると認めたものの、計画性等がみとめられないこと、海上保安官が負傷するなどの人身被害がなかったこと、被疑者はトロール漁船の一船長で本邦における前科がないこと、日中関係の重要性、関係当局による今後の再発防止の努力等を考慮して、処分保留の上、釈放することとしたものと承知している。個別の事件における検察当局の処分にちて、法務大臣として所感を述べることは差し控えるが、一般論として申し上げれば、検察当局において諸般の事情にかんがみ、法と証拠に基づいて適切に判断したものと承知している。 以上が、現時点で私がお話しすることができるすべてだ」
岡田克也幹事長「経緯は聞いていない。もう既に、私は政府の人間ではない。政府であっても、聞いていることはないと思う。那覇地検がそういう判断をしたということであれば、それについて憶測を交えてモノを言うことはできない。地検の判断は、尊重されるべきだ。基本的に検察がどうするか。今回、最終判断はしていない。起訴するかどうかについては判断をしていない。身柄を釈放したということにとどまっているわけだ。そのときに、総合的に判断するということは、現行制度上ありうることだ。検察の判断に対して政府あるいは政治家がいちいちコメントすることは、なるべく避けるべきだ。まだ最終的には結論は出ていない。そのことはよく踏まえた上で議論したほうがよい。大事なことは、やはり司法の独立。検察が自ら判断したということが重要なことであって、それが何かどっかの、日本政府であれ、中国側であれ、何らかの影響を受けて、本来の判断を曲げてしまったという風に受け取られることが、最大の国益を損なうことになる。だから、そういうことではないとしっかりと発信していくことが重要である。まるで中国から言われたから判断を曲げたような、そういう風に理解をされたとしたら、それはまさしく国益を損なうことだ」
馬淵澄夫国土交通相「今回の判断は司法当局、検察の判断だ。これについて我々は今、口を挟む立場ではない。海上保安庁の、我々職員の仲間達は、しっかりとその警備に対して当たっていただいたと思う。(衝突場面のビデオ映像を公開するかは)これもその捜査の中での判断ということになるので、私どもとしてはコメントを差し控えたい。今回の判断については特段の思いというのはない」
松本剛明外務副大臣「司法が判断をされた内容は法に基づいて判断したと思うので、それが政治的であるかいなかは私どもがいう立場にはない。日中関係については冷静に対応してもらいたいと言ってきたわけだが、仙谷官房長官も日中関係に悪化の兆候が見られるのも事実と言っている。諸般の情勢からすれば、そういう認識もあるのかなと思っているが、私どもとしては戦略的互恵関係の構築に努力していきたい」
芝博一副幹事長「個人の立場は別にして、がっかりしている。無条件の釈放は、納得いかない部分がある。しかし、政治状況を考えれば、日本は大人の対応をした。中国と同じ立ち位置で喧嘩したら、よいことは残らない。政治経済を含めて中国の体質を見極めて判断だと思う。外交は相手の国の思想信条を踏まえて考慮しないと」
中津川博郷衆院議員「民主党内の保守派は怒り心頭だ。その話で持ちきり。皆、びっくりしているし、弱腰の対応にあきれている。あくまで想像だが、検察の信頼が地に墜ちている今だったからこそ、上としては(圧力をかけるのが)やりやすかったのでは。日本外交の敗北だ。初動の段階で、漁船がぶつかってきたのを写したビデオを公開し、世界の世論を見方につけておけばよかった。中国にしてやられた。罪のないフジタ社員を「人質」にとったり。外交交渉をしたたかにしないと国益を損ねる。そこを同じ党員ではあるが、果たしてどこまでわかっていたのだろうか。(政府の一番の問題は)親中派が1人もいないことが露呈されたこと。中国はそれを見透かし、日本をなめている。田中真紀子さんや小沢一郎さんに活躍してもらうのも一つの手だったのかもしれない」
松崎公昭衆院議員「弱腰外交と非難すれば済む話ではない。日本は主体的な安全保障を考えていく必要がある。これまでも、こういう状態を放置してきた。今後の反省材料にしなければならない」
前原誠司外相「検察が判断したことについては、政府の一つの機関が決めたことだから、我々はその対応に従う。閣僚の一人として、それに従うというか、了としたい。もし同様の事案が起きれば、また同じような対応を粛々とすることに尽きる」
【自民党】
谷垣禎一総裁「今まで政府は国内法に基づいて粛々と処理すると言ってきた。ところが今回、処分保留で那覇地検が釈放した。那覇地検のコメントを見ると「捜査を継続した場合、我が国国民への影響や今後の日中関係も考慮すると、これ以上身柄拘束を継続するのは妥当でないと判断した」と言っている。まず第一に、捜査機関が言うべきことでない。外交を考え、政治的判断を加えた。その役割は政府が担うべきことであって、検察がこういうことを言うのはまったく理解できない。なぜこういう判断をしたのか、政府が責任を持って説明しなければならない。政治的判断を加えた末にこういうことを言ったのなら、国民にきちんと説明する必要がある。ビデオテープなどを発表しなかったが、それが問題の敏速な、妥当な解決を妨げたのでないか。小泉政権の時は、尖閣に上陸した者に対し、すぐ国外退去にした。そういう処理の仕方もあり得たと思う。国内法に基づいて粛々となると、ちょっと今度の処理は腑に落ちない。少し腰砕けになったのでないか。そういう反応が出てくる恐れもある。検察が今のように政治的判断を加えてやるというところで、間違ったメッセージになっちゃってるんじゃないか」
石破茂政調会長「那覇地検の会見を見ると『今後の日中関係を考慮して』などと言っているが、こんなことを判断する権能がいつ検察に与えられたのか。それはおかしい。その判断の正しいおかしいの前に、こういうことを検察が判断する立場にないはずだ。そこは権限を越えた政治的な判断を検察が行ったというのは極めて問題だ。なぜ検察がこのような判断をしたのか、いかなる権限を持って判断したのか、政府は明らかにする必要がある。官房長官は今は総理の臨時代理だろうから、総理の臨時代理である官房長官の仙谷由人氏がこういうような判断を検察がするに至った理由を法律のプロとして日本国の統治機構の観点から述べる必要があるだろう。会見でこの部分(日中関係のくだり)はなくてもいい。何でこれが入っているのか。そこはかの国へのメッセージかもしれないが、こんなことを検事正が言っていいのだろうか。政府の責任の所在が全く不明だ。検察は何でもやるのかということになる。仙谷さんが一番分かっていると思う。あらゆる泥をかぶるというのなら、臨時代理が言えばいいのではないか」
安倍晋三元首相「日本の領海を侵犯し主権を侵害し、さらに海保の巡視船に体当たりした船の船長を中国の圧力に屈して釈放する。最悪の判断だ。この間違った決断は結果として新たな危機を呼び寄せることになるだろう。民主党政権の領土領海を、国益を守る意志の強さを中国は見ていた。そして見極めた。その結果の領海侵犯であり、逮捕に対する傲慢な圧力だった。叩頭し続ける民主党政権はさらなる叩頭を求められ、日本は尖閣を失うだろう」
【公明党】
山口那津男代表「処分保留ということは形式的には結論が出ていないわけだから、最終的にどうするかは見守らなければならない。しかし、身柄を釈放するわけだから、一つの転機にはなりうる。日中の外交関係をこれ以上、こじらせる、ひいては経済社会関係にいろいろな影響を及ぼすことはだれしも本来望んでいないことなので、ここは法的な主張をぶつけあうよりも、むしろ政治的な解決をしていくべき場面に転じたと思う。日中関係は国際関係の中でも日米関係に匹敵する重要な関係になりつつある。戦略的互恵関係をお互いに認識し高めていこうと、こういう流れもできた。また、東シナ海は平和と協力の海にしようということも共通の認識になっているわけだから、あくまで日中としては様々な課題、あるいは波風があったとしても対話を重ねて平和的な解決に努力をするのが基本でなければならない。いろいろ日中双方にあったが、大局観に立って冷静にこれに対応することは今後とも必要なことであり、起きてしまったことについても冷静に振り返るということも重要だ。もっと大きな大局観に立ってむしろ関係を前進させる、中国あるいはその他の東アジアの国々を含めてこの地域を安定化させることに努力すべきだ」
【みんなの党】
渡辺喜美代表「中国の圧力に屈したとしか思えないような決定だ。一連の中国の圧力に屈して日本の領海で犯罪を犯した船長を釈放したのならば、菅内閣の弱腰外交を糾弾しないといけない。常識的に地検の判断でできる話ではない。当然のことながら政権のトップの決断によるものだろう。一連の中国の強硬姿勢は民主党政権の足下を見透かして日本政府を試しにかかってきていたということが言える。試されている以上、日本が毅然とした態度を取り続けるのが当然なことで、それを途中でこうした腰砕けの決定をしてしまうのは、この先大変な状況に日本を陥らせてしまったなという感じだ。ここまで明白な外交的敗北で解決するというのは開いた口がふさがらない。これから日本に対して、中国のみならず何か要求がある時には無理難題をふっかけてくるだろうということが当然予測される。もう無理難題をふっかけられたらすぐ腰砕けになって釈放でも何でもしてしまうということを見せつけてしまったわけだから。今回も映像が出てくるのかと思っていたのだが、そういうものが全く公開されずに、うやむやのままに唖然とする腰砕け釈放をやってしまった。きちんとその映像を公開すべきだと思う」
【社民党】
福島瑞穂党首「那覇地検の処分を尊重するしかない。関係諸国ときちんと協議をした上で、このようなことが起きないように再発防止の必要がある。やはり政治上、経済上、非常に緊密な関係なので、こういう緊張関係が発生しないように再発防止も含めきちっとやる必要があると考える。釈放したのは那覇地検なので、それは那覇地検の判断だと思う。それは刑事上の処分としての検察庁の判断だと思うので、それがいいとか悪いとかいうよりもそれは尊重せざるを得ないと思う」
【国民新党】
亀井亜紀子政調会長「日本に東シナ海の領土問題は存在しないわけですから、そこで起きた事件について公務執行妨害、国内法に基づいて粛々と進めればよかったことだ。それを釈放したということは何らかの政治的判断が働いたと考えざるを得ない。それは検察の仕事ではない。やはり、外交・安全保障政策に関しては、民主党の中にもいろんな方がいる。保守派もいらっしゃるが、非常に不安を感じている。夏に防衛白書の公表を遅らせたことがあった。あの時に、やはり連立を組む国民新党はまったく相談を受けていないが、やはり私は質問主意書も出して、なぜ遅らせたのか、竹島問題のことをからめながら質問したが、まともな回答を得られていない。真実は分からないが、対外的に竹島問題を考慮したのではないかと思われてしまうこと自体、それは東シナ海で領海を侵犯される隙を中国に対して与えたということだ。国益は安全保障という観点で考えたら損なわれたと思う。やはりスタートで間違えていると思う。初めに毅然と対応しないので、どんどん隙を与えてしまう。そして解決がいっそう難しくなっていくことがある。中国が過剰に反応したことに乗るべきではなかったと思う」
下地幹郎幹事長「この決定に政治的な配慮は無かったことを私どもは信じて疑うものではない。しかしながら、拘留延長し、取調べをするという決定から今日の結果に至るまでの間、何があったのかについて、国民からも、世界の司法関係者からも疑問をもたれないように説明責任をしっかりと那覇地検は行うべきだ。『わが国国民への影響や、今後の日中関係を考慮した』という那覇地検のコメントには、法にのっとり粛々と処理を進めることが役割である検察の判断としては、非常に大きな問題があるのではないか。改めて、那覇地検に対して、国民の納得と法的な納得が得られる説明を求める」
【たちあがれ日本】
平沼赳夫代表「私共は非常に今回の措置というは遺憾なことだと思っている。ここで船長を釈放しましたら、暗に国際社会において、中国の領有権を日本が認めたということにもつながりかねない。たちあがれ日本としては非常に残念な措置だ。これは毅然とやらなければいけない。こういう考え方を持っている」
与謝野馨共同代表「元々、尖閣列島の帰属については、何ら国際法上、問題がないというのは、平沼代表がご説明した通りだ。日本の漁船もロシアの水域に入って捕まることもあるし、また、他の国から拿捕されることも過去あったと思うが、それは一つ一つ小さな事件として処理されるべきことで、大きな国際問題に発展するような言動はあらゆる関係者が慎まなければならない」
【地方首長】
仲井真弘多沖縄県知事「無論、尖閣は沖縄県そのものではあるのですけど、こういう国際的な問題とか課題は、やっぱりお国の方で前面に出ていろいろご苦労されている。皆さんの報道で知っているだけですが、早い時期にいい形で治まるというか、解決をやっていただければと思っているのですがね。今の釈放についてもどんな形で、どんな内容なのか僕ら正確には分かりかねるんで、また正確に分かってからお答えします」
石原慎太郎東京都知事「言語道断だね。何であのビデオをもっと早く出さなかったのか。本当ねえ、ヤクザのやり方と一緒だ。こんなのに屈するとはねえ、屈辱じゃ済まない問題だ。これから国会が始まるんだろうからね。あなた方(記者団)が頑張って、保安庁の持っているビデオ公開させろよ。国民がそれを持ってどう判断するかだ。今の政府をだよ。何のために、何の利益を追求するのか。観光?貿易?そういう金銭の利益以上のものが国家にとってあるだろ。これでとんでもないものを失うんだよ」
今朝、夕刊当番のため出社したら、私宛にこの本が届いていました。私の名前もちらっと出てくるので、ご関心のある方は読んでみてください。…にしても、海保の士気は落ちるでしょうねえ。”
- 中国人船長釈放に対する政治家の一言集 - 国を憂い、われとわが身を甘やかすの記 (via e5150)