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"さて、うつ病である。 さらっと言ってみたが、実は半年以上前からうつ病に罹っていた。 昨年の11月頭にうつ病と診断され、当時通っていた専門学校を退学することとなった。半年以上経った現在でも、診断書に「就..."

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さて、うつ病である。

さらっと言ってみたが、実は半年以上前からうつ病に罹っていた。
昨年の11月頭にうつ病と診断され、当時通っていた専門学校を退学することとなった。半年以上経った現在でも、診断書に「就労困難である」と書かれる有様だ。

これを読んでいる皆さんは、うつ病という病気についてどの程度知っているだろうか。

「うつ病は甘え」と仰る方もおられるかもしれない。

だが、それは誤解である。
実際になってみないと理解できるはずもないが、ある程度言葉でそれを伝えられると信じ、誤解を払拭できるよう努めて文章を書いてみようと思う。


「うつ病はこころの風邪」という言葉がある。
これは、「うつ病は誰でも罹る可能性のある病気である」という一面の真実を突くと同時に、あるひとつの誤解を生み出している。

すなわち、
「うつ病は風邪程度の病気でしかない」という誤解だ。

風邪ならば、少々無理をして働いていてもいつの間にか治っている。
一週間も続けば長い方で、そこから別の病気を併発することはあれど、重篤になることはない。

だが実際には、うつ病は無理をすれば無理をするほど悪化して行くし、寛解状態まで数年かかることも少なくない。
以上を踏まえ、うつ病を端的に表す新しい喩えを提示しよう。


「うつ病は、脳の骨折である」。


足を折れば、人は歩くことができない。
指を折れば、人は物を持つことができない。
それと同様に、うつ病になった人間は、今までできていたことができなくなるのだ。
甘えでも、怠けでもない。
文字通り「不可能になる」のだ。

朝起きて、仕事に行くことが「できない」。
満員電車に乗ることが「できない」。
部屋の掃除をすることさえ「できない」。

説明が遅くなったが、いわゆる「うつ状態」と「うつ病」はまったく違うものである。
うつ状態はその言葉の通り、「陰鬱な気分であること」。
うつ病とは、「ストレスによる一時的な脳機能障害」のことを指す。

この両者の混同からも、前述のような誤解が生まれていることは想像に難くない。
(単純に気分が落ち込みがちなだけであるにも関わらず、うつ病であると自称する、などという例が挙げられる)


とまあ、手習いがてら色々と繰り言を書いてみたが、いかがだっただろうか。
実際にうつ病である俺が書いているだけあって、自己弁護じみているかもしれないが、一面の真実は突いていると思う。
皆さんも、身近にうつ病の方(自称うつ病ではなく、実際にそう診断された方)がいれば、「ああ、大変なんだな」と思って生暖かい目で見てやってほしい。

けれど、変に励ますのもいけない。
よく「うつ病の人に頑張ってと言ってはいけない」などと言う。

さて、自分がある時を境に突然、「箸を上手に使えなくなった」と想像してみよう。
まず感じるのは、「何故そんな簡単なこともできなくなったのか」という自分に対する疑問と苛立ち、恥ずかしさと焦燥感だろう。
早く元のように箸を使えるようにならなければならない。
そうしなければ、人前で食事を摂ることもできなくなってしまう。
苛立つ。
焦る。
だが、努力しても努力しても元には戻らない。
更に苛立ちが募る。
そんな時に一言、他人から「頑張って」と声を掛けられる。
自分は既に頑張っているのに。
自分の頑張りが足りないのか?
それとも、自分は頑張っても箸をまともに使うことすらできない無能者なのか?

そうして、あなたは更に自己嫌悪のスパイラルへと陥ってしまうだろう。

これが、うつ病の人に頑張れと言ってはいけない理由である。
うつ病患者はあなたの前に立っているその瞬間ですら、自分にできる限り精一杯頑張っているかもしれないのだ。
それを更に追い込むようなことは、してはいけない。



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