【ヒーロー(英雄)】
まず、「ヒーロー」と言う役割があります。こういう親の子だからこそ、凄いヒーローが生まれる。昔流行った漫画で、「巨人の星」というのがありましたが、あそこに出てくる星飛雄馬というのは、この種のヒーローです。
野球に限らない。歌手でも俳優でも良い。とにかく世間に評価される子どもがその家族から出ると、その子のさらなる活躍に熱中して、両親の冷たい関係が一時良くなったりする。そうなると子どものほうでもいっそう頑張ろうという事になるから、ますます一芸にひいでるということになるわけです。
【スケープゴート(犠牲の山羊)】
ヒーローの丁度裏返しにあるのが「スケープゴート」です。一家の中の駄目を全て背負うような子どもです。とにかく、この子さえいなければ全て丸く収まるのではないかという幻想を他の家族メンバーに抱かせる事によって、家族の真の崩壊を防いでいるような存在です。
病気するといえばこの子、怪我をするといえばこの子、学校に呼び出されるといえば子のこのいたずらや乱暴のため、近所のこの親が怒鳴り込んでくると思えばこの子が原因、全てこの子。
以前、女子高校生のコンクリート詰め殺人事件と医のがありました。その事件の舞台になった家の少年も、このタイプだったと思います。あの家の長男と次男とがちょうどヒーローとスケープゴートの役割を典型的に演じていたように思うのです。
当時、ヒーローの方は予備校生だったのですが、お母さんとしては彼のことを傷つけたくないという一心で、スケープゴートのほうの事件に無関心を装っていたという事があるようです。非行、シンナー乱用から精神病まで、スケープゴートは忙しいのです。
【ロスト・ワン(居ない子)】
ヒーローやスケープゴートのようには目立たないで、「いない子」という存在の仕方をしている子ども達もいます。「壁のシミ」とも呼ばれます。とにかく静かでも字通り「忘れ去られた子ども」です。家族がいっしょに何かやろうという時にもいない。はじめのうちいたかと思っても、ふっとどこかへ行ってしまう。そしていなくなったことも気付かれないという存在です。こうした形で家族内の人間関係を離れ、自分の心が傷つく事をまのがれようとしているのです。
子どもも中学生くらいになりますと、いろいろ学校の用事ができて、この種の「いないという居方」にも熟練してきます。
【プラケーター(慰め役の子)】
慰め役の子が慰めるのは、一家の中でいつも暗い顔をして、ため息をついている親、多くの場合は母親です。夫の飲酒や暴力の事で頭が一杯になっている母親の肩に手を置いて「どうしたの?」と優しく尋ねる子ですので、私は「小さいカウンセラー」と呼んでいます。多くの場合、末っ子です。
【クラン(道化役の子)】
慰め役の亜種として「道化役の子」がいます。例えば親達の間に言い合いが始まって家族の中に緊張が走るような時、突然とんちんかんな質問を浴びせたり、歌いだしたり踊りだしたりしはじめる子です。
この子は普段から一家の中のペットにされていて、自分でもそれを楽しんでるように見えます。しかし道化の仮面の下の顔は寂しいものです。
【イネイブラー(支え役の子)】
支え役の子は小さい時から、他人の世話を焼いてくるくる働きまわっています。「偽親」とも呼ばれ、子ども達の中の一番上の子がこの役につくことが多いのですが、長男がヒーローやスケープゴートをやって忙しいと、その下の長女などがこの役につくこともあります。母親に代わって幼い弟妹の面倒を見ることもしますし、駄目なお父さんの役割を補完して父親代わりもします。
男の子がこの役について、依存的な母親との間に「まるで夫婦のような」関係が出来ていることもあります。これがいわゆる情緒的近親姦です。母親が欠けていたり、無能力だったりして女の子がこの役についている場合には、もっと深刻な事態が発生します。この場合「まるで夫婦のような」関係は、父親による性虐待を招く事があるからです。このへんが男と女の性行動の違いで、母親と息子との性関係は実際には殆ど生じませんが、男親は娘を性的対象にする事があるのです。
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2009-07-25 (via gkojay) (via oosawatechnica) (via petapeta) (via tetsuharu)