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"[自衛隊][エピソード][哲学] ..."

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[自衛隊][エピソード][哲学]

フリーライターで、平成19年に予備自衛官になった、岡田真理氏は、自身が予備自衛官になるまでの自衛隊で受けた訓練の日々を、本にしているのだけれど、そこに自衛官の精神を伺わせる一節がある。少し長いけれど、次に引用する。

冬の訓練。
冬なので積もったりします。凍ったりします。吹雪いたりします。
でも、日常は繰り返されます。
駐屯地の朝8時。君が代と共に掲揚される日の丸。この国旗掲揚中は直立不動で、日の丸、君が代に敬礼します。

雪で凍てついたアスファルトでどんだけ足がキンキンしようが、微動だにせず直立不動。どんだけゴウゴウと吹雪いていようが、微動だにせず直立不動。

びゅうびゅうと真横に飛んで来るみぞれが耳の穴直球でバチコーン! バチコーン!と鼓膜に響こうが、微動だにせず直立不動。
背筋を伸ばし、身動きひとつせず、微動だにせず直立不動。

・・・できるワケねぇ。ムリムリ。寒すぎ。いや、やる気はあるんです。「まばたきするな。蜂が飛んできても動くな」の国旗掲揚中のこと、マシンのようにビシッと真っ直ぐ立っていたいんです。
でも体がいうこときかないんです。
奥歯がガチガチ鳴るんです。
足から腰からぶるぶる震えるんです。
全身が勝手に縮こまるんです。
いや、これやる気がないんじゃなくて。体が勝手に。マジで。
しかし不思議なことに、中隊長や区隊長、班長たち現職の自衛官さんを見ると、彼らはまったく震えていません。

風景が冬じゃなかったらどの季節か分からないくらい「なんともない顔」をしています。
休憩時間なんかだと、彼らも「うお~さみ~!!」と言い合ってたりするので、特別寒さに強いわけではありません。
なのに「なんともない顔」をしています。

そんな寒空の下。
大隊長の訓話を受ける機会がありました。
相変わらずガタガタ震えながら、雪の下に整列する予備自補たち。
恰幅の良い、柔和で、それでいて威厳のある顔をした大隊長の第一声は、張りのある大きな声で「武士は食わねど高楊枝!!」。
唐突なその言葉にきょとんとする予備自補一同。
そして続く大隊長の言葉。
「寒そうにするな!!」

 寒くても寒そうに見せるな。
 寒そうにしていたら敵につけこまれる。
 寒そうにしていたら国民に頼ってもらえない。
 だから、どれだけ寒くても寒そうにするな。
 武士は食わねど高楊枝。

「いざ志願!おひとりさま自衛隊」 岡部真理著より


岡田真理氏はこの体験で、動作が揃っていない部隊は強そうに見えない、敵にナメられる、というのは聞いたことがあるけれど、「国民に頼ってもらえない」というのは目からウロコだと述べている。

言われてみれば、確かにそのとおり。普段から規律正しくビシッとしていればこそ、国民も、有事の時には、助けてくれるだろうと安心していられる。これが、だらだらした軍だったら、自分達より先に逃げ出すのじゃないの、と不安がられてもおかしくない。

それほどの思いで24時間昼夜問わず、日本を護っている自衛隊に対して「暴力装置」はない。いくら、本音では自衛隊を嫌っていたとしても、政治家として、しかも政府閣僚ならば、決して口にしてはならない言葉。撤回したって許されるものじゃない。あまりにも配慮が無さ過ぎる。

それに比べれば、吉田茂元首相が昭和32年に防衛大学の卒業生に語った言葉は、自衛官に対する配慮と感謝があった。次に引用する。
君達は自衛隊在職中

決して国民から感謝されたり

歓迎されることなく自衛隊を終わるかもしれない

きっと非難とか叱咤ばかりの一生かもしれない

御苦労だと思う

しかし

自衛隊が国民から歓迎されちやほやされる事態とは

外国から攻撃されて国家存亡の時とか災害派遣の時とか

国民が困窮し国家が混乱に直面している時だけなのだ

言葉を換えれば

君達が日陰者である時のほうが

国民や日本は幸せなのだ

どうか、耐えてもらいたい

吉田茂



- http://kotobukibune.at.webry.info/201011/article_19.html (via youcean)

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