B社長がなぜ10年たらずで”キャバクラ王”と言われるようになったの
か聞いてみた。
「偉そうなことは言えませんが」と前置きしながらも口を開いてくれ
た。Bさんの話を要約するとこうだ。
・・・私を”キャバクラ王”とよんでいるのは一部の人だけです。なに
しろ狭いこの業界、先輩社長のなかで私なんか異端児扱いされている
だけの小僧ですよ。
もともと私はナイトライフの専門雑誌のライター兼カメラマンをやっ
ていて、キャバクラやピンク系の水商売、ホストクラブ、風俗店を毎
日取材と撮影に出かけていました。お店もたくさん取材したし、本社
の社長や役員ともたくさん会いました。その経験から、この分野には
充分チャンスがあると思った。挑戦してみたら本当にうまくやれた。
むしろ想像以上にうまくやってこれました。それだけのことです。
・・・
●「なにが良かったのですか?」と聞くと、お客さん第一の営業に徹
した点にあるという。
それには他業界の営業ノウハウに学ぶことが多かったという。当時、
キャバクラ店の多くはそれほど特別な努力をしなくても儲かっていた。
今から思えば競争環境がゆるかった。うちはまず、スタッフ教育に力
を入れた。たとえば、ホステスに対する接客教育から営業教育(携帯
やメール)、ブログ教育から私生活の管理まで、徹底してホステスと
して一流になるように仕込んできた。その酬いとして、彼女たちにし
っかり稼がせた。基本的に女性はハングリーだから。
やる気のあるホステスはこちらの教育指導にちゃんとついてきて成長
していった。会社としても彼女たちをサポートするためにホームペー
ジの充実、顧客のポイント制度、VIPメンバー制度、携帯予約シス
テムなど、他業界では常識になっている営業ノウハウを総動員してフ
ァンを増やしていった。その結果、業界トップクラスの稼働率、リピ
ート率、利益率をほこるお店ができ店数も増えていった、という。
●「これからもその路線で伸ばすのですか?」と聞いてみたら、意外
な答えが返ってきた。
はじめの頃は、寝食をわすれて仕事に打ち込んだ。それほどこの仕事
が面白かった。おかげで、しっかりお金も稼がせてもらった。だが最
近、もうこれで充分だと思うようになってきた。むしろ、この業界と
は違うところで勝負してみたい。
そう思うようになった最大の理由は「人」である。今夜の黒服事件も
そのあらわれだと思うが、黒服のなり手がいない。黒服をやりたいと
いう若者がいないのだ。中高年まで対象を広げればいるのだが、客層
に合わないからうちは黒服も若手で行くと決めている。だから、なり
手がいない。それに女性ホステスと違ってハングリーさがないので、
教育を厳しくすると辞めていく。現場の店長が一番困っているのが黒
服対策だ。これからは、一緒に経営努力を共にしてくれる仲間や社員
と仕事をしたい。
●私は途中、話をさえぎるように口をはさんだ。
たとえば、「黒服の新卒採用なんてどうですか?」とか、「使命感を
与えれば黒服になりたい若者はたくさんいるはず」、とか、「黒服を
女性ばかりにしてはどうか」など。
だがB社長がそれを即座に否定した。「過去、武沢さんが言うような
ことをすべてやってきたが、いずれもうまくいかなかった」という。
- がんばれ社長!今日のポイント [まぐまぐ!] (via nakano)