神戸海上保安部の保安官が流出への関与を告白という急展開を見せた10日、海上保安庁には激励の声が殺到した。同保安部や上部組織にあたる第5管区海上 保安本部には電話やメールが計900件超寄せられ、大半は「保安官は悪くない」といった意見だった。一方、今回流出した映像が守秘義務の対象に当たらず、 保安官は立件されないと指摘する声も出ている。
「中国人船長は釈放で、保安官は罰するのかという意見は理解はできる。相当難しい判断になるだろう」。ある検察関係者は、立件に踏み切る姿勢を評価しながらも険しい表情を見せた。
保安官にかかる容疑は国家公務員法の守秘義務違反。問題の映像が「秘密」に当たるのか疑問視する声は多い。同法は「職員が職務上知ることのできた秘密を 漏らしてはいけない」と規定。77年の最高裁決定は「実質的に秘密として保護するに値するものをいい、国家機関が形式的に秘密指定をしただけでは足りな い」との判断を示している。
映像はすでに一部の国会議員に公開され、見た議員が衝突シーンを報道陣に説明するなど内容はすでに広く伝わっている。ある検察関係者は「流出時に秘密 だったと言えるかどうかは議論の余地がある」と指摘。保安官が所属する神戸海上保安部は本来、映像に接する機会がない部署で、検察関係者は「職務上知り得 たと言えるのかどうかという点でも疑問が残る」と首をかしげた。
ある警察幹部は「国家公務員法違反に当たるかどうかの判断は極めて微妙で、政治的。今回は官邸がそこを判断して捜査させられている」と話した。法曹関係 者は「映像は捜査情報であって機密情報には当たらない」と指摘。捜査側が保安官の刑事責任を追及すればするほど国民の知る権利を侵したととらえられかね ず、捜査は難航しそうだ。
一方、仙谷氏は「専門家が見れば、追跡方法、証拠を集める資機材の種類などが分かる。秘匿を要する情報だ」と指摘。流出後も政府が全面公開しない理由について、流出させた人物の量刑が下がる恐れを指摘した。
船長は釈放で、保安官は有罪?映像「秘密」に疑問 「国家公務員法違反に当たるかどうかの判断は極めて微妙で政治的。今回は官邸がそこを判断して捜査させられている」 - スポニチ: