菅直人は新成長戦略の一環として
「環太平洋戦略的経済協定」(TPP)への参加を検討すると表明しました。
■FTAより怖い完全自由化
2015年から例外のない完全なる関税撤廃が加盟国同士で行われる事になります。
現状ではシンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランド、
オーストラリア、ペルー、アメリカ、ベトナム、
さらにはマレーシア、コロンビア、カナダも参加の意向を表明しています。
例外はありません、ましてFTAのような二国間ではなく
加盟国同士の多国間ということになります。
物価の高い日本がこれをやられれば
国内の製造業の壊滅、空洞化を覚悟しなければなりません。
■農業戸別所得補償とリンク
これは昨年の衆院選前から伏線が指摘されていました。
民主党は米国とのFTAとはっきり書いており、
これを問題視した農家達が抗議したところ「米など農産物は例外にさせる」
とそもそも米国側がFTAを受け入れるはずがないような事を言って
選挙の直前にマニフェストから削除しました。
しかし、小沢など一部の議員は
「戸別所得補償が有るから競争になっても問題無い」
とまで発言していました。
彼らがそう考えていたとすれば
FTAと戸別所得補償を併記してマニフェストに書いた理由も納得がいきます。
今回の参議院選挙ではEPAやFTAを推進という発言が
復活してきていましたので
彼らが自由化推進という立場であることは間違いないでしょう。
■戸別所得補償による価格破壊
すでに米価の大幅下落を招いています(東北産の新米ですでに昨年比-15%程度)
現在米農家だけを対象に行われている戸別所得補償モデル事業についてですが、
過去数年分の販売価格の平均から補償の基準となる基準価格を出します。
家族労働費や経費なども加味されていますが、
一番はこの過去数年分の平均価格から出される基準価格です。
この10月から一俵あたり2900円の補償金を背負った米が出回り始めました。
大手も含めて流通側はこの補償金を背負った米が出てくれば
この2900円を織り込んでそれに近い額を安くして買い取り価格を提示するでしょう。
実際に東北ではすでに一俵当たり2500円も新米が値下がりしているところもあります。
ここ数日の予算委員会で民主党政府は
戸別所得補償によって下落した米価に対する対策をしないと主張しています。
曰く「戸別所得補償が原因ではないし価格の変動部分も所得補償で対応できる」
だそうです。
仮に価格の変動も含めて下落幅もすべてカバーするとなれば
まず1~2兆円規模で財源を見つけてこないとなりません。
これらを他の農産物や漁業にまで拡大するというのですから、
すぐに財源問題に当たって継続性に問題が出る事は間違いありません。
■戸別所得補償の罠
さて、この戸別所得補償が数年続けば
暴落した米価が次の補償金額の算定のための基準価格となります。
仮に補償金を上乗せして基準価格以上に補填したとしても
農家が補償金依存体質になって元に戻れなくなる事は間違い無いでしょう。
また、米の平均価格がどんどん下がって行く中で
2015年にTPPが発動された場合
米や豪の米などが格安で大量に入ってくる事になります。
日本の米は価格競争のためにさらに補償金漬けにしなければ維持できません。
こんどはそのような変動する大幅な補助金がWTOから問題として指摘されるでしょう。
そうなった状態で戸別所得補償を急に辞めたとしても
補助金無しではやっていけない体質にされた農家が即座に対応できるはずがありません。
■競争力強化策を軒並み減額して財源化
今回の戸別所得補償の財源確保にあたっては
農地の整備や集約化などの予算をばっさりカットしています。
日本の農家の7割は農業収入ではやっていけない兼業農家なのです。
そこでそうした農家の土地を借り受けたり
企業による農業への参入などを促して大規模化を進める等を行う事で
競争力を高めようとしてきたのが最近の自民党の農業政策でした。
しかし、そうした予算をまとめてばっさりと切ってしまって
これを戸別所得補償の財源に回しました。
■競争力の無い農家を増やす
戸別所得補償では高コスト体質の小規模兼業農家の方が補填額が大きくなります。
(基準価格からの補填以外に「経営費」等の項目があり、コスト高の方が補填額が大きくなる)
また小規模農家はこの補償金目当てに
いままで大規模農家に貸していた土地の貸しはがしを行っています。
大規模化、高品質化を進めてきた農家は
価格の破壊だけでなく、土地の取り上げも行われ最悪の状況です。
戸別所得補償を数年行えば、
日本の農家の競争力は確実に落ちていくと言っていいでしょう。
民主党政権は戸別所得補償が価格下落の原因ではないと強弁していますが、
そうでなければ何が今の大幅な価格の下落の原因なのでしょうか?
それについては国会で一言も説明されていません。
また、今国会の予算委員会で野党議員に何度も質問されていましたが、
TPPへの参加検討を取り下げるつもりはいまのところ無いようです。
戸別所得補償とTPP、これをセットにすれば
確実に日本の農業は崩壊します。
自民党時代に自由化を行った場合というシミュレーションが行われた事があります。
そのときに農水省が出してきた結論は
現在の約40%の食糧自給率は数年で18%まで後退し、
農業や関連を含め9兆円の市場を失うというものだったそうです。
菅直人は何も考えていないのかもしれませんが、
民主党の党職員達は社会党出身の新左翼上がりばかりが集まっています。
そうした連中はこうした破滅的な政策を意図的にやっているフシがあります。
なぜなら新左翼は
「日本がボロボロになれば国民は耐えきれずに革命が起きる」
という思想を持っていたからです。
普通の人はにわかには信じられないでしょうが、
彼らはそうしてテロ活動までやってきたのです。
マルクス主義者達は「革命を起こす事」が目的になってしまい
イタリアのグラムシなどはどうやって社会、文化を内側から壊していって
革命を起こさざるを得ない状況に追い込むかという論を展開していました。
この思想を大きく取り入れていたのが仙谷の出身でもあり
民主党の党職員の中に多数その存在を指摘されている社青同でした。
そしてここがポイントだと私は思っていますが、
菅直人などは学生運動を煽るだけ煽って最前列に立たずに
自分は隠れてしまう事で処分歴が付かないようにしてきました。
今の民主党の閣僚達はそういった連中が集まっています。
煽る事で金になる、それでいて自分は隠れて痛い目には遭わない
こういう事を繰り返して今の地位に昇ってきたわけです。
そういう連中が全共闘から続く「革命ごっこ」
という自慰行為に近い妄想から抜け出すはずが無いと思います。
- パチンコ屋の倒産を応援するブログ : 国内農業の破壊が目的か?菅内閣のTPP参加検討表明 (via edieelee)