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Channel: Peckori Detuned.
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"母親たちというのは、発言権がある。幼稚園側は母親たちの意見を尊重する。私立であるからか、評判が悪くなることを恐れている。..."

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母親たちというのは、発言権がある。幼稚園側は母親たちの意見を尊重する。私立であるからか、評判が悪くなることを恐れている。 だから権利を保障されている母親たちは声を荒げてこう言うのだ。

「出産を選ぶなら辞めなさいよ。担任を続けるなら堕ろしなさいよ!」

 それからの出来事といえば、予想通り。母親たちは電話や手紙などで不満を訴え続けた。園長に直接言いに行った母親もいたらしい。そんなすったもんだの末、1学期終了の日に突然、担任の先生が退職することが文書で伝えられた。文書には「子育てに専念するために退職」と書いてあったが、もちろんそんなことは嘘だろう。本当に子育てに専念できるといううれしさの中にあるなら、泣きはらしたような目で子供たちを送り出したりしないだろう。お迎え組みのある母親が子供を引き取りながら声をかける。

「今までありがとうございました。お体大切に〜。」

 担任は「ありがとうございました」と頭を下げたが、言葉の最後が声にならない。当然、笑ってもいない。涙をこらえる彼女を見たら、これが悔しさでなくてなんだろうと思う。きっと彼女はどの母親が意見を言ったのかを知っているだろう。でも、そんな母親たちにも頭を下げるのだ。担任を追い出すことに成功し、白々しくねぎらいの言葉をかける母親にだ。

「先生は子供を産んで育てるためにこの学園を辞めます」

と子供たちに説明した。幼稚園が子供たちに“女は妊娠したら仕事を辞めるものだ”と教えてしまった。そして、ありがとうの言葉と共に、拍手をおくったのだ。退職に追い込まれた彼女に拍手ということだ!



- いまさら気づいたこと|職業婦人の生きる道 坂戸恵美 (via peperon999)

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