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いや、これは必ずしもそうはならない。
最初の名簿は無作為に各市町の選挙名簿から選ばれた人で、4つの任期ごとに合わせて400人が選ばれるそうだけれど、ここまでは選ばれた人の年齢別の分布または平均や分散などの統計量がわかれば、無作為抽出標本・もしくはある種の層化抽出標本の母集団からのズレを統計的検定できる。
だけれど、選ばれた後の候補者の任期スケジュールについては調整が可能で、ここで「無作為」抽出の仮定は崩れる。
http://www.courts.go.jp/kensin/q_a/q19.html
そしてなにより、辞退事由がかなりゆるく、普通の現役勤め人や子育て主婦は辞退すると思われ、ここで「東京都の選挙人名簿から無作為に抽出された候補者」という仮定は一気に崩れ去る。
http://www.courts.go.jp/kensin/q_a/q28.html
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ただし,国民の皆さんの負担が過重なものとならないようにとの配慮などから,法律で次のような辞退事由を定めており,そのような事情に当たると認められれば,辞退することができます。
(1)70歳以上の人
(2)国会又は地方公共団体の議会の議員(ただし会期中に限ります)
(3)国又は地方公共団体の職員及び教員
(4)学生,生徒
(5)5年以内に裁判員や検察審査員などの職務に従事した人及び1年以内に裁判員候補者として裁判員選定手続きの期日に出頭した人
(6)3年以内に選任予定裁判員に選ばれた人
(7)一定の「やむを得ない理由」があって,検察審査員の職務を行うことや検察審査会に行くことが困難であると検察審査会が認めた人
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以上からわかるように、法律が定めているように「無作為に検察審査員を選び出し」ていないのだ。
今回の任期は7, 8, 9月と大学の夏休みに掛かったこともあって、スケジュール調整の結果と現役勤労世代の辞退事由により、若い人が選ばれやすくなったという可能性も否定できない。
「無作為に検察審査員を選び出し」ていないのだから、根拠なく陰謀論を振りかざすのはあまり賢くない行為だろうと思う。疑いを持ち続けるのはよいのだが、最初から崩れた仮説のもとに、何かを主張したとしても、それは砂上の楼閣というものだ。
(via kashino)