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- 有機化学美術館・分館:ある白い粉のこと - livedoor Blog(ブログ) (via otsune)
その物質は、水によく溶け、臭いはない。様々な形状をとることができるが、最もよく知られた外観は「白い粉」という姿だ。後述する様々な危険性を持つ物質だが、今のところ法律による規制をすり抜けており、事実上野放しになっているのが現状だ。
この物質は、摂取することによって人体に強い快感を与えることを特徴とする。一度摂取すると決してやめることはできず、毎日この物質を求めずにいられなくなる。悲惨なことに、この物質の中毒に陥りやすいのは若い女性だ。疲労感を忘れさせる性質があるため、肉体を酷使する職業の者も手を出してしまいやすい。脳の働きをよくするとして、勉強前に摂取する若者も後を絶たない。
この物質は人体の様々な防御機構を突破して血液中に苦もなく入り込み、全身をめぐる。細胞の一つ一つにまで入り込み、肝臓や筋肉に蓄積してしまう。多くの有害物質は尿から排泄されるが、この物質は排出されにくく、尿中に検出される頃には症状は相当に悪化している。
恐ろしいのはここからだ。この物質は血管を造るタンパク質に二度と外れないようしっかりと結びつく。また細胞内のシグナル伝達機構を狂わせ、徐々にその機能を失わせてゆく。結果、全身の血管は少しずつ蝕まれる。網膜の血管が破壊されれば失明につながり、心血管がダメージを受ければ心筋梗塞の原因となる。症状が進めば腎臓病、脳卒中、狭心症、認知症なども起きることがあり、この物質が引き起こす疾患は数知れない。
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