前田検事によるファイル更新日改ざんは、動機等はともあれ、本人も周囲も村木氏の初公判の辺りから知っていたということがハッキリしてきた。
前田検事は、これを遊びでやったとか、過失だったとか言い訳した挙句、相変わらずの発表ジャーナリズムによれば故意にやったことを認めさせられたらしいが、重要なことはその動機や意図ではない。
少なくともこの改ざんを行った時点で、偽の証明書を作成した日が検察の描く村木氏の偽造指示の日より前であることを前田検事は十分認識していたし、少なくとも改ざんの事実を知っていた特捜部副部長・部長、その他前田検事とトラブルになったという公判立会検事も、少なくとも検察の構図では犯罪が成り立たないことを認識していたことになる。それにも関わらず公判を維持し、求刑までしてきた。この点が最重要の問題であろう。
最高検の逮捕容疑は刑法104条の証拠隠滅罪である。
(証拠隠滅等)
第百四条 他人の刑事事件に関する証拠を隠滅し、偽造し、若しくは変造し、又は偽造若しくは変造の証拠を使用した者は、二年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。
そこで、ファイル更新日書き換えが故意にされたのかとか、証拠として使用しなかったことを同評価するとかが問題となっているが、そのような些細な点よりも、無実の者を無実と知りつつ起訴し、公判を維持してきた事自体が問題なのである。
その点では、ファイル書き換えの意図とか動機とか、過失か故意かということは重要ではない。
罪を犯していないものに刑事罰を課すような申告をしたものには、虚偽告訴の罪というのが定められている。昔の誣告罪である。
(虚偽告訴等)
第百七十二条 人に刑事又は懲戒の処分を受けさせる目的で、虚偽の告訴、告発その他の申告をした者は、三月以上十年以下の懲役に処する。
法定刑で見ればわかるように、虚偽告訴の方が証拠隠滅よりずっと重い罪である。
ただし、検察官が公判請求する行為が「虚偽の告訴、告発その他の申告」といえるかどうかは、解釈の余地がありそうな感じで、厳格に解すれば、検察官の訴追行為は虚偽告訴行為にならないという解釈もありそうだ。が、法の目的は不当な訴追の危険にさらされないようにすることであろうから、検察官の訴追行為は構成要件に該当しないという解釈は合理的ではない。
もちろん、無罪判決が出れば常に虚偽告訴になるというわけではない。そんなことになれば刑事裁判制度が無意味となる。
今回の事件では、証拠の日付をわざわざ書き換えるという行為をしている時点で、遊びだろうがなんだろうが、村木氏の無実を知りながら公判を維持してきたという点に最大の犯罪性があるのである。そしてその点では、前田検事の行為を知っていた周囲の連中や上司も、全く同罪なのだ。
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trial:前田検事の改ざんを知っていた者は村木氏の無実を知っていたのでは?: Matimulog
ホントだよな。「無実を知りながら後半を維持してきた」ことに加担したすべての検察関係者が責を負うべきだよな。検察の職務と義務を著しく逸脱する行いだから、制裁によるシグナリングという意味でも対象者を資格剥奪と懲戒解雇にするべきと、素人は考えるのだが。トカゲの尻尾切りみたいに、傍系大学出身という、切りやすいところを切り捨てるのではなくてさ。
(via kashino)