「中国は自国のEEZの上空を 他の諸国のように『国際的空域』とはみなさず、自国の国内法に基づいて、中国の主権の適用対象とみなしている。アメリカが中国のこの解釈に対して反対を何 回も表明したにもかかわらず、中国政府は一九九八年の『EEZおよび大陸棚法』を正当化の口実として、EEZへの主権の主張を続け、その勝手な解釈を誇示 するために、中国のEEZ上空を飛ぶアメリカ側の航空機に対し捕捉、妨害、対抗などを繰り返している」
こうなると、もう軍事衝突のシ ナリオをも想定せねばならない、きわめて危険な領域となる。この危険はそもそも中国が国際社会の慣行や国連主導の海洋法条約に背を向けて、国際ルールの野 心的な「解釈」をすることから生まれてきた。そしてその背後にあるのは領土や領海は少しでも多く増やそうという中国当局のぎらぎらした覇権への野望だとい えよう。
中国のそうした態度には日本は 東シナ海でまともに余波を受けるのに、正面から抗議することはまずない。しかしアメリカではいろいろなチャンネルやステージで反論や反対が述べられてい る。実際の米軍のアジアでの日ごろの活動でも、中国の主権拡大の主張には簡単に屈しないという構えがみられた。だがそんな構えが本当の危機を引き起こすと いうケースもあった。米軍と中国軍との文字どおりの衝突だった。
報告の記述をみよう。
「米中両国間で起きた一つの事件 が中国のEEZに関する主権や上空飛行の解釈から生じる諸問題にハイライトをあてる結果となった。二〇〇一年四月、中国軍の戦闘機が中国の海南島近くの EEZ上空を飛んでいた米軍のEP3偵察機とぶつかり、米軍機は破損して海南島に緊急着陸させられた事件だった。中国政府は米軍機の乗組員を拘束し、その 米軍機をスパイ機だと非難した」
中国側はしかも米軍機が中国の 領空を審判したと糾弾した。明らかにEEZの上空は領空だという解釈に立っての糾弾だった。アメリカ側はこれに対し「機体には米海軍のマークが大きく記さ れており、中国の領空には入らず、EEZ上空だけを飛ぶ定期的な偵察飛行だ」と反論した。アメリカは事故が起きたのは中国軍の戦闘機がスクランブルをか け、異常に接近してきたため、衝突したのだ、とも言明した。同じルートの偵察飛行はこれまで中国側も熟知して、反対することはなかったともいう。
この事件はブッシュ政権の登場後まもなく起きた。米中両国間の危機としても心配された事件だった。しかしその背後に中国側の特殊な主権主張が大きな影を広げていたことはあまり報じられなかった。
”- 中国がいかに理不尽か:イザ!: 2010/09/25 02:07 (via nandato)