そういえば、会社から指示されてる目標があるんです。実行目標を略して《実目》っていいます。それは《自然消滅80%》ってフレーズ。とにかく、返金課にたどり着かせないように広告には返金窓口番号は載せませんし、軽いクレームはフロントで切ります。
でも、猛烈にシツコイ客っているんですよね。今でも覚えてるのは、私がフロントのころ文句つけてきた38才の独身女です。第一声から「金返せ! 下痢するだけで痩せねぇよ!」って怒鳴り散らして。こちらも必死に説得するんですけど、全然ダメ。そのうち「こんなインチキ商売しやがって、お前らロクな死に方しないぞ」なんて言い出すし、もう1日中わめくんです。ひたすらリダイヤルし続けているんでしょうね。
これが1週間続いたら、さすがに気がおかしくなります。こういう強烈な客だけが返金課にたどり着くわけです。逆に、会社にとっても、ココからが勝負どころなんですね。返金課の電話回線って実は1本しかありませんから、ほとんどの客にとって常に通話中です。何度かけても通じない。コレで嫌になって、接触して来なくなる客が非常に多いんですよ。自然消滅の第一段階です。
コレでもねばる客は相当お怒りですよ。もう、繋がった途端にスゴイ剣幕、殺すぞ! みたいな。そしたら、今度は《たらい回し作戦》です。返金課には5人いたんですが、担当が違うと言っては次の子に回すんです。その件でしたらお客様相談係です、ソレは総務室です、返金相談課です、カスタマーセンターです、ダイエット・サポート係です、経理です、申請課です…って。
もちろん、相手はキレまくりですよ。「アンタが返金しなさいよ!」って。でも、どんなに怒鳴られても『担当が違いますので、これから言う番号へお願いします」って淡々と繰り返すんです。
問題は、それでもあきらめないツワモノですけど、これは返金手続きに応じます。お客様がダイエット効果を実感できないならば、30缶1万3800円の代金を全額お返ししますって。
でも、この返金手続きが半パじゃなくウザイ。まず、客の元へ『返金手続き書』が郵送されるんですが、ダイエット飲料を飲み始めてからのウエイト記録、1日の便通回数を記録する表、ナゼか血糖値の管理表まで詳細に記入しなければならない。一部でも記入漏れがあれば無効です。あと、ダイエット前と現在を、同じ角度から同じズームで撮影した日付入り写真が求められます。そんなの、事前に説明されてなければ、絶対にムリでしょ。
ただ、極めつけは『反省文』ですね。なぜ、ダイエットに失敗したかを、原稿用紙10枚に書かなきゃいけない。もう、あきらめさるを得ませんよね。私がいた期間中、返金はただの一度もありませんでした。
- 活字中毒R。 (via aya18) (via nemoi) (via kml) (via manamanmana) (via tsupo) (via iyoupapa) (via petapeta) (via gkojax)
2009-04-24 (via gkojay) (via writerman-js)