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- 東京右半分 都築響一 (via nosouth)
70年代から80年代にかけて、世界を席巻したラジカセって、ぜんぶ日本から輸出したものなんです。それプラス、地元の国で作っていたも
のがちょっとで、世界で使われていたラジカセの、当時はほとんどが日本製なんです。アメリカからヨーロッパから東南アジア、中国なんかもぼく、よく行くん
ですけど、中国にも80年代は、日本から大量にラジカセが輸出されたそうなんですよ。当時は高級品だったんで、北京なんかでもほんとに特権階級のひとが、
日本のラジカセを社交ダンスのときに使っていたって聞きました。カセットテープで音楽流して、ダンスを踊って、酒飲みながら、とか。当時、ラジカセは日本
で10万円くらいですから、海外でだともっと高いわけでしょ。そういうものを当時中国で買えるっていったら、ほんとうにトップというか、すごいお金持ちし
かいませんから。だから中国も香港も、すごいコレクターがいるんです。
アメリカはど
ちらかというと、原型を留めておくっていうより、車にしてもなんにしても、カスタマイズしちゃうじゃないですか。だからラジカセもすごいんですよね。も
う、コテコテになっちゃって。逆にヨーロッパは古いラジカセをそのまんま、大事に使っているという文化なんで。家にしてもなんにしてもそうですよね。昔の
ものをそのまんま、長年大事に使っている。だから、ラジカセも整備するアイテム、パーツなんかは、欧米のほうが入手しやすいんです。
日
本は、古いものは廃棄してそのままっていうのばかりで。だから、日本ではほんとうに悲しいかな、日本で生まれたラジカセなのに、どんどんどんどん廃棄され
て、さきほど言ったように中国とか諸外国、発展途上国に行っちゃうラジカセが多くて、ほんとうに悲しいんですよね。ラジカセって、たぶん日本が生んだ最高
の、国産の家電のなかでもいちばん秀逸な家電だと思うんですよ。だから将来、日本の文化的遺産となってもおかしくないくらいのものだと思っているんです
が。
”- 東京右半分 都築響一 (via nosouth)