「佐川では業務中の事故は問答無用、解雇になるんです。何とか示談にしてもらえませんか?」
「あぁ?解雇?そんな訳ないだろう。それじゃDRがいなくなっちゃうだろう?」
「ウソではありません、本当です。何とか示談にしてください」
きっと日通さんではありえないのでしょう。
どうしても事故=解雇になることを信じてくれません。
ふと見ると、すぐ近くで大ベテランの先輩がこちらを見ています。
そうだ、あの先輩に相談してみよう、近くまで駈けていきました。
「忙しいところすいません。急便は事故を起こすと即解雇されるんですよね?」
正直に言うと私はこの先輩は少しは助けてくれるかと期待していました。
しかし彼は
「なんだお前?ぶつけたのか??ダメダメ、営業車での事故は問答無用で解雇だな」
そう言うが早いかトラックに乗り込みさっさと移動!
先輩がすべてやってくれるとは思っていませんでしたが、これには呆然としてしてしまいました。
・・・君子危うきに近寄らず、、、ですか???
しかしそうそう落ち込んでもいられません。
私の夢を実現するには急便で働くしかないのです。
何とか日通の配送員に示談してもらうしか道はありません。
「お願いします!何とか示談にしてください。私は急便で働きたいのです」
「そう言ってもなぁ、俺だってこの凹みで事故記録が残るんだ。無実を証明するには警察の事故証明が必要なんだよ」
「自分が無理を言っているのは充分わかっています。しかし、今急便を解約される訳にはいかないのです。何とかお願いします!!」
「俺達だって安全運転にはうるさく言われているんだ。それにもし自分でぶつけたとなると安全運転報酬がもらえないんだよ」
「わかりました。では私がその安全運転報酬を全額支払います。その他要望があれば何でも言うことを聞きます。どうにか示談にしてください」
「あぁ?俺は金が欲しくてこんなこと言ってるんじゃないんだ。誤解すんなよ!」
しばらくの沈黙のあと
「もういいよ、行きな!」
えっ?今なんて言ったの??
私は自分の耳を疑いました。
「いいって言ってんだよ、何もなかったことにしてやるよ」
「ありがとうございます!!私は毎日この同じ場所にいます。安全運転報酬を支払うので貴方の連絡先を教えてください」
「だからいいって言ってんだろ!何もなかったんだよ」
すごい!!奇跡って本当に起こるんだ!!
一瞬神様を信じてしまいました。
帰社後、先輩にこの話をしました。
「相手がいいって言ってんだからそれでいいんじゃない?事故報告?トラックは凹んでないんだろ、じゃ自ら墓穴を掘ることないだろ?証拠がなけりゃ大丈夫」
そんなものか?本当にこれでいいのか?
「大丈夫だって。俺も新人の頃に経験があるし、係の殆どが経験しているんじゃないかな?俺?タクシーのミラーを折って3万円で話をつけたよ。給与に比べたら安いもんだろ?」
「いいかどんなに急いでいても運転だけは何があっても急ぐな!あせるな!交差点では安全を確認するまで発進するな!後ろの車がどんなに文句を言っても人は傷つかない。バックは1m以上するな!方向転換も禁止!」
初めて運行管理の言葉が理解できたような気がしました。
”- 事故 続編 【ほんとうの佐川急便】 (via oosawatechnica, petapeta)
2009-03-12 (via gkojay) (via luft2501) (via puruhime)