“グループ・タックが準破産申請をして事実上の倒産をしたそうで、「タッチ」を中心にした青春アニメの総本山として懐かしみ勿体ながる人も多そうだけれどそ
うした青春時代にあんまり青春アニメを見ていなかった身には、むしろ30過ぎにテレビを見る時間が出来て見たNHKの土曜日放送のアニメなんかが記憶にも
鮮明だし勿体ない気分も高い。たとえば「飛べ!イサミ」とかはヒロインが履くスパッツにどうしてスパッツでなければならないのだろうと生な足(といったっ
てアニメなんで絵なんだけど)を見せてもらえないんだろうと懊悩しつつ、いやむしろこうして体にぴったりとはりついたスパッツの方が色こそ違え体の線を
しっかり表しているものではないかといった結論を導き出し、眺めつつ透視して心を燃えに萌え立たせていた。
それから「YAT安心!宇宙旅行」。へきへき椎名へきるさんをヒロインの声に迎えて繰り広げられた宇宙を舞台にした旅行&冒険の物語は、何よりも天上院 桂さんの短いスカートからスラリと延びた足なんかに目が行って、目が釘付けとなって目線を縛られ、1度見たらやみつきになってそのまま見るようになって、 そして繰り出されるユーモアいっぱいの展開と、桂さんの超パワーのおかしさと、そんな裏にあった割に深いドラマなんかを楽しんでいた。もっとも2期に入る とそんな綺麗な足が見られないようなコスチュームに変更となって、愕然として呆然として、激怒して憤怒して、滂沱して呻吟して悔しさにまみれながらそれで も声だけは前のとおりと見続けたんだっけ。懐かしい。
あとはやっぱり「はれときどきぶた」か。これはNHKではないけれど、会社として立ち上がったばかりのSPE・ビジュアルワークスを尋ねて白川隆三さん に話を聞いて、面白いアニメーションが始まるって話を早速記事に仕立て上げたんだっけ。始まった時は童話が原作ってことでほのぼのっぽさ漂う作品になるか と思ったら、次第にテンポアップを重ねて激しい展開をなってたたきつけて畳み込むような終盤へと至って伝説のアニメーションとして今に名をとどろかせるに 至った。あれとその直前の「るろうに剣心」があったから後に「空の境界」とか「宇宙ショーへようこそ」なんかを手がけて業界を震撼させるアニプレックスは あるんだって言えそう。いっそA-1ピクチャーズでタックの商権を引き継いでしまえば良いのに。そんなお金はないかやっぱり。うーん。
そんな「はれときどきぶた」が放送されていたのが1997年から1998年まででそして「YAT安心!宇宙旅行」の慟哭の第2期が放送されたのも 1998年。ってことでこの前後ってのはやっぱりアニメーションにとっても結構意味のある年なのかもしれないってことを最近あれこれ考える。中心にあるの は「serial experiments lain」でそこに描かれた電脳空間と現実空間が重なり合わさっていくビジョンは、同じ年に公開された今敏監 督の「パーフェクトブルー」に描かれた、電脳の仮想空間に現実の存在が浸食されていって何がリアルで何がバーチャルか分からなくなってしまうビジョンと対 をなして、電脳空間が広がっていった時に起こるさまざまな問題なり、得られる可能性といったものを示してくれた。
もちろん先行してそうしたリアルとバーチャルの融合を描いた作品はいくらでもあって、サイバーパンクと呼ばれる作品に始まって電脳空間にジャックインす る東野司さんの「京美ちゃん」シリーズなり、柾悟郎さん「ヴィーナス・シティ」なり、内田美奈子さんの傑作漫画「BOOMTOWN」といった作品が電脳空 間の持つ可能性を怖さって奴を感じさせてくれていた。とはいえまだまだコンピュータが手の届かない場所にあって夢のテクノロジーとして示されたものが、 マッキントッシュやらウィンドウズ3.1やらの到来で個人でもインターネットを利用できるようになり、そこから始まった見知らぬ人とのテキストベースのコ ミュニケーションが、世界規模に広がっていくという面的な拡大、あるいはやがてキャラクターベースのコミュニケーションとなっていく質的な拡大が想定でき るようになったのが1996年とかそんな辺りになる。
1994年に「WIRED」って雑誌が米国で生まれ、95年には日本語版も創刊されて「つながる」ことがひとつの文化として浸透し始めていった果て、実 感できるところまで広がりそれが創作へと跳ね返って「lain」が生まれ、「パーフェクトブルー」が生まれた、って見方も出来なくもない。ちなみに 「WIRED」の日本語版はそんなワイアードカルチャー真っ盛りの1998年に版元の都合もあってあえなく休刊。先行してアジったものが浸透して拡散して いったがために本家本元が必要とされなくなった、って訳ではないにしても一般化してしまった先鋭的な文化はもはや先鋭的ではないってことでもあって、そこ に先鋭性をアピールする雑誌があってもかえってアナクロに見えてしまう。休刊はだからタイミング的にも悪くなかったんじゃなかろうか。
電脳といえば「アキハバラ電脳組」も1998年ってことになるのか。こちらはデジタルカルチャーを含んではいても基本的には美少女戦死の格闘バトル的ス トーリー。絵柄も旧来から続くしゃくれ顔で目の巨大な少女たちで、見てそれがトレンドだって思わせる範囲に留まっている。当時のって意味だけど。今みたら すっげえよなあ。対して「lain」は丸顔で目はそんなに大きくない少女が憮然として登場していてこれは何だと驚いたっけ。やっぱり1998年にはOVA で「青の6号」のリリースが始まって、こちらには村田蓮爾さんがやっぱり丸顔で目がきょろんとした少女が登場していた。どちらも当時のいわゆるアニメ絵的 な流行からはかけ離れたデザインで、故にたぶんあんまり評判にもならなかったけれど、干支が一巡りした2010年に「青の6号」も「lain」もブルーレ イ化されて最先端に戻ってきた。早すぎたといえば言えるけれどもそれならそれで選んだ人たちの目の確かさは凄いというか素晴らしいというか。翻って今、他 と違って評判を得られていないけれども2020年辺りで最先端を晴れるタイトルとそしてキャラクターがいるだろうか。いたらどれだろうか。考えてみるのも 面白い。”
- 日刊リウイチ (via toronei) (via katoyuu)
それから「YAT安心!宇宙旅行」。へきへき椎名へきるさんをヒロインの声に迎えて繰り広げられた宇宙を舞台にした旅行&冒険の物語は、何よりも天上院 桂さんの短いスカートからスラリと延びた足なんかに目が行って、目が釘付けとなって目線を縛られ、1度見たらやみつきになってそのまま見るようになって、 そして繰り出されるユーモアいっぱいの展開と、桂さんの超パワーのおかしさと、そんな裏にあった割に深いドラマなんかを楽しんでいた。もっとも2期に入る とそんな綺麗な足が見られないようなコスチュームに変更となって、愕然として呆然として、激怒して憤怒して、滂沱して呻吟して悔しさにまみれながらそれで も声だけは前のとおりと見続けたんだっけ。懐かしい。
あとはやっぱり「はれときどきぶた」か。これはNHKではないけれど、会社として立ち上がったばかりのSPE・ビジュアルワークスを尋ねて白川隆三さん に話を聞いて、面白いアニメーションが始まるって話を早速記事に仕立て上げたんだっけ。始まった時は童話が原作ってことでほのぼのっぽさ漂う作品になるか と思ったら、次第にテンポアップを重ねて激しい展開をなってたたきつけて畳み込むような終盤へと至って伝説のアニメーションとして今に名をとどろかせるに 至った。あれとその直前の「るろうに剣心」があったから後に「空の境界」とか「宇宙ショーへようこそ」なんかを手がけて業界を震撼させるアニプレックスは あるんだって言えそう。いっそA-1ピクチャーズでタックの商権を引き継いでしまえば良いのに。そんなお金はないかやっぱり。うーん。
そんな「はれときどきぶた」が放送されていたのが1997年から1998年まででそして「YAT安心!宇宙旅行」の慟哭の第2期が放送されたのも 1998年。ってことでこの前後ってのはやっぱりアニメーションにとっても結構意味のある年なのかもしれないってことを最近あれこれ考える。中心にあるの は「serial experiments lain」でそこに描かれた電脳空間と現実空間が重なり合わさっていくビジョンは、同じ年に公開された今敏監 督の「パーフェクトブルー」に描かれた、電脳の仮想空間に現実の存在が浸食されていって何がリアルで何がバーチャルか分からなくなってしまうビジョンと対 をなして、電脳空間が広がっていった時に起こるさまざまな問題なり、得られる可能性といったものを示してくれた。
もちろん先行してそうしたリアルとバーチャルの融合を描いた作品はいくらでもあって、サイバーパンクと呼ばれる作品に始まって電脳空間にジャックインす る東野司さんの「京美ちゃん」シリーズなり、柾悟郎さん「ヴィーナス・シティ」なり、内田美奈子さんの傑作漫画「BOOMTOWN」といった作品が電脳空 間の持つ可能性を怖さって奴を感じさせてくれていた。とはいえまだまだコンピュータが手の届かない場所にあって夢のテクノロジーとして示されたものが、 マッキントッシュやらウィンドウズ3.1やらの到来で個人でもインターネットを利用できるようになり、そこから始まった見知らぬ人とのテキストベースのコ ミュニケーションが、世界規模に広がっていくという面的な拡大、あるいはやがてキャラクターベースのコミュニケーションとなっていく質的な拡大が想定でき るようになったのが1996年とかそんな辺りになる。
1994年に「WIRED」って雑誌が米国で生まれ、95年には日本語版も創刊されて「つながる」ことがひとつの文化として浸透し始めていった果て、実 感できるところまで広がりそれが創作へと跳ね返って「lain」が生まれ、「パーフェクトブルー」が生まれた、って見方も出来なくもない。ちなみに 「WIRED」の日本語版はそんなワイアードカルチャー真っ盛りの1998年に版元の都合もあってあえなく休刊。先行してアジったものが浸透して拡散して いったがために本家本元が必要とされなくなった、って訳ではないにしても一般化してしまった先鋭的な文化はもはや先鋭的ではないってことでもあって、そこ に先鋭性をアピールする雑誌があってもかえってアナクロに見えてしまう。休刊はだからタイミング的にも悪くなかったんじゃなかろうか。
電脳といえば「アキハバラ電脳組」も1998年ってことになるのか。こちらはデジタルカルチャーを含んではいても基本的には美少女戦死の格闘バトル的ス トーリー。絵柄も旧来から続くしゃくれ顔で目の巨大な少女たちで、見てそれがトレンドだって思わせる範囲に留まっている。当時のって意味だけど。今みたら すっげえよなあ。対して「lain」は丸顔で目はそんなに大きくない少女が憮然として登場していてこれは何だと驚いたっけ。やっぱり1998年にはOVA で「青の6号」のリリースが始まって、こちらには村田蓮爾さんがやっぱり丸顔で目がきょろんとした少女が登場していた。どちらも当時のいわゆるアニメ絵的 な流行からはかけ離れたデザインで、故にたぶんあんまり評判にもならなかったけれど、干支が一巡りした2010年に「青の6号」も「lain」もブルーレ イ化されて最先端に戻ってきた。早すぎたといえば言えるけれどもそれならそれで選んだ人たちの目の確かさは凄いというか素晴らしいというか。翻って今、他 と違って評判を得られていないけれども2020年辺りで最先端を晴れるタイトルとそしてキャラクターがいるだろうか。いたらどれだろうか。考えてみるのも 面白い。”
- 日刊リウイチ (via toronei) (via katoyuu)